子猫お届け後の体調不良について

子猫がお引越しした後、3~4日(あるいはそれ以上)たっておなかを壊したり、風邪をひいたりすることがとても多いのですが、そのような場合、ご連絡いただけましたら、

  • 当方のかかりつけの動物病院に行って頂く。
  • 元気・食欲があるならば、当方のかかりつけの動物病院で処方して頂いた薬を郵送する。
  • 体調が落ち着くまで、当方でお預かりする

のいずれかの方法で対応させていただきたいと思います(上記方法なら治療費はこちらで負担させていただきます)。

1歳頃までは、免疫力が不安定で、環境の変化、寒暖差、湿度の変化などで体調を崩すことがとても多いです。免疫力が下がると、もともともっていた菌、原虫、ウィルスが活性化・増殖して、風邪や下痢の症状を起こすようです。

子猫の体調管理には気をつかっているつもりですが、当方は大家族です。「本猫は発症していないが、ウィルスを保持している成猫」が存在し、子猫自体も「ご見学時は発症していないけれど、ウィルスや菌などを保持」している可能性があること、小さい子ほど、環境の変化によって抵抗力が下がってしまうということ、ご理解頂けると幸いです。

下痢について

下痢のご報告はとても多いので、下痢について、もう少し詳しくご説明させて頂きます。

子猫の下痢の主な原因は以下の通りです。

  • 食べすぎ
  • フードの変化
  • 悪玉菌増加(らせん菌や桿菌など)
  • 原虫増加(ジアルジア、トリコモナス。うちではコクシジウムが出たことはほとんどありません)

元気、食欲があるなら、食べすぎかフードの変化を疑って、処方食(ロイヤルカナンの消化器サポート等。なぜかヒルズはうちの子にあわないことが多いです)に変えていただくだけで治ります。半日絶食も効果的です。ビオフェルミン等も効果があるかもしれません。

それで治らない場合、動物病院に行くと、まず顕微鏡の検便をしてくれると思います。悪玉菌の増加なら、それでわかります。治療は抗生剤です。原虫の場合は、顕微鏡検便ではわからないこともあります(トリコモナスは顕微鏡での検出率が14%)。ジアルジアは簡易検査キットがあります。

下痢パネルという、数種類の原虫を検査するPCR検査を勧められることもあるかもしれませんが、高価です。うちの猫たちは、ジアルジアかトリコモナスが原因のことが多く、フラジール(メトロニダゾール)という抗原虫薬が、その両方に効くため、下痢パネルの前に、試験投薬でフラジールを飲ませることをお勧めします。

以前は、お引越し前に顕微鏡による検便をしていましたが、こちらで異常なしでも、お引越し後に下痢をして、遺伝子検査によってジアルジアまたはトリコモナスが検出されることがありました。遺伝子検査は高額なため、お引越し前に遺伝子検査をすることは、現実的ではないこと、こちらで異常なしでもお引越し後に下痢をすることが多いことから、現在は、お引越し前には特に検便はせず、1週間駆虫薬(フラジール)を飲ませています。

原虫のご報告が多かった時期、私も悩み、獣医さんと相談し、いろいろな薬を使いましたが、なぜか、この2~3年、原虫のご報告が減りました。一時期PCR検査をすぐに勧める獣医さんが多かったのが、最近はそうでもなくなったのか、子猫の頃の原虫は仕方ないので、フードやサプリで腸内環境を改善したほうがよいと考える獣医さんが増えたのか、という雰囲気です。

難治性の下痢の場合、トリコモナスは、2年以内にほぼ全頭が自然治癒する、という論文もあり、フードやサプリメントである程度落ち着くことも多いので、おとなになって免疫力がアップするのを待っていただくのがよいだろうと、現在の私とかかりつけ医は考えております。

原因不明の下痢には、現在、サラゾピリン(潰瘍性大腸炎の薬)とビブラマイシン(抗生剤)がよく効くと感じており、下痢のご報告をいただいたときは、そのミックスもしくはフラジールをお勧めしております。

下痢をしたときは、まずご連絡いただければ、と思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

RIEN 渡部さち子